マラソン 2020 9 26

 私が卒業した高校には、体育祭の一環として、
10Kmマラソンというものがありました。
 このような長距離を走るとなると、
ペース配分を考える必要がありましたが、
多くの人は、スタート地点から全力疾走していました。
 なぜかというと、スタート地点で、
多くの先生や女子学生が声援を送っていたからです。
 気になっている女子学生から「かんばって」と声援をもらうと、
あるいは、担任の先生からも「頑張れ」と言われると、
つい、スタート地点から全力疾走したくなるのです。
 しかし、マラソンの走行距離は、10Kmもありますので、
スタート地点からダッシュしてしまうと、
後半戦は、力尽きてしまいます。
 新型コロナウイルスとの戦いも、長期戦になる可能性があります。
もちろん、短期で終わることを祈っていますが、
全員が短期決戦を考えていると、大きな敗北につながります。
 やはり、政府内に、
「短期決戦チーム」と「長期戦チーム」を作ったほうがよいでしょう。
 つまり、新型コロナウイルスが5年や10年に長引いたことを想定して、
戦略を練るチームが必要であるということです。
 もちろん、新型コロナウイルスが短期で収束すれば無駄になりますが、
万が一、長期になった場合は、今の戦法では、力尽きてしまうでしょう。
 さて、私は、2013年に、
「つながりすぎた世界」は、テロと同じように、
「世界のリスク」であると書きましたが、
やはり、不安は、的中してしまいました。
 こうしたリスクを経済で説明してしまったので、
多くの人にはピンとこなかったかもしれません。
もっと身近なことで説明すべきだったと思っています。
 たとえば、新幹線で考えるとわかりやすいでしょう。
新幹線で仙台から名古屋に行くとなると、東京駅で乗り換える必要があります。
 多くの人は、「東北新幹線が東海道新幹線に乗り入れれば、
東京駅で乗り換えなしで名古屋に行けるのに」と思うでしょうが、
これをやってしまうと、リスクの連鎖が発生します。
 日本列島は、南北に長いので、風水害や地震のリスクを考えると、
いったん、東京駅で新幹線網を分断しておいたほうがよいのです。
 「つながりすぎた世界」においても、
どこかに「分断」、つまり「緩衝帯」を作る必要があります。

Overconnected 2013 11 3

OVERCONNECTED:
The Promise and Threat of the Internet
by William H. Davidow

書名 つながりすぎた世界
著者 ウィリアム・H・ダビドウ  ダイヤモンド社

「つながりすぎた世界」
 これを象徴するものは何か。
経済のニュースを見てみると、
よく見かけるのが、こういうニュースです。
「アメリカの株式市場が急落したため、
日本の株式市場も大幅に下落した」
 アメリカの株式市場が急落したのは、
悪い経済指標が公表されたからでしょう。
 しかし、すぐに連鎖して、
日本の株式市場も下落するのは、気が早すぎると思います。
 アメリカ経済が悪化して、日本経済に影響が出るのは、
早くても、数か月後でしょう。
 そう言えば、私の記憶が確かならば、
日本経済新聞に、このようなニュースがあったと思います。
 リーマン・ショックという金融危機によって、
世界経済が大きく動揺している時に、
アメリカの中央銀行であるFRB関係者は、
日本の株式市場の動向を
非常に心配しながら見ていたというニュースがありました。
 土曜日、日曜日という休日が終わって、
先進国で最も早く開く市場が日本の株式市場であり、
たとえば、休日に悪いニュースが出て、
日本の株式市場が暴落すると、上海の株式市場も暴落し、
欧州の株式市場も暴落しました。
それを見たアメリカの株式市場も暴落するという「暴落の連鎖」がありました。
 こうなると、FRBは、自国の株式市場の動揺を抑えるだけでなく、
先進国で最も早く開く日本の株式市場が開く前に、
金融危機に対して何らかの「対策」を発表する必要に迫られました。
 このように「つながりすぎた世界」においては、
各国の政策担当者は、難しい対応を迫られることになります。
 何か「緩衝材」のようなものが欲しいところですが、
インターネットの発達で、地理的には遠いが、
時間的には、世界は非常に近くなってしまったのです。
つまり、世界は互いに密接してしまったのです。
 「世界のリスク」というと、「テロ」を連想する人も多いでしょうが、
このような「つながりすぎた世界」も、「世界のリスク」と言えるでしょう。






































































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